サポートアスリート稲毛日菜子選手の2023年度の活動報告

 

2023シーズンを終えて 稲毛日菜子

 

■ご挨拶 

いつもたくさんの応援と温かいご支援、ありがとうございます。

 

今シーズンの振り返りは7月にスイスで開催された世界選手権(WOC)が全てと言えるくらい、自身の集大成と位置付けて活動してきました。初めて出場してから10年が経ち、2021年大会でも目標に及ばなかった結果も踏まえ、これまでと同じ方向性の努力や準備では掲げた目標にはいつまでも届かないことを痛感していました。自分で作っている限界を超えて未踏のレベルに達してみたいと、前年の秋から何度も国際レースやトレキャンに通い、大会直前期は一ヶ月以上ヨーロッパに滞在しWOCに向けて準備をしました。日々全ての時間をオリエンテーリングの上達に注いで心を燃やし、競技の奥深さと勝負の厳しさにもがきながらも、強烈な経験ができたシーズンでした。

 

2023オリエンテーリング世界選手権(スイス)ロングディスタンスにて
2023オリエンテーリング世界選手権(スイス)ロングディスタンスにて

 

■活動報告

<世界選手権@スイス>7/11-16

ロング 41位

ミドル予選 16位(ボーダー直下)

ミドル決勝 47位(国枠で出走)

リレー 1走18位(日本チーム20位)

 

目標としていたロング30位台、ミドル予選自力突破という順位目標には、どちらもあと数十秒足りませんでした。一方で、ロング、ミドル予選、リレーの3レースは自身最高順位となり、確実に地力が上がったことは証明されました。また、これらの結果も含め日本チームとして国別ランキングのグループが1つ昇格となったことは大いに評価できると思います。

レース内容は良いところも悪いところもありましたが、ミスを最小限で押さえた判断力やその後の立て直し、1年前は困惑していた難易度のレッグをこなせた時の純粋なオリエンテーリングの楽しさはしっかり記憶に残っています。世界の代表選手達と同じレースを「走っている」のではなく「競っている」と思えたのも成長でした。

相当の熱量を注ぎ何度も挑戦し続けたからこそ得られたと思う結果を誇れると同時に、これだけの努力と実力では求めていた順位には届かない厳しさを改めて突きつけられました。目標が高く、想いが深くなるほど、トレーニングや途中経過には苦しく悩むことも増えたけれど、それでも、このレース1本に懸けて生きてきた価値があると思える、それが世界選手権の舞台でした。

 

 

 

世界選手権ロングディスタンスの地図 
世界選手権ロングディスタンスの地図 
世界選手権日本代表チーム
世界選手権日本代表チーム

フランスでのトレーニングキャンプ、伊藤樹選手と
フランスでのトレーニングキャンプ、伊藤樹選手と

<ヨーロッパ遠征@スイス・フランス>5/26-7/10

 

世界選手権を最高の仕上がりで迎えるため大会までの約6週間、スイスでの公式トレーニングと各国の選考レースにもなるテストレースに参加し、その後は隣国のフランスを移動しながら武者修行をしました。35日分の有給休暇を全放出させてくれた会社の理解や、たくさんのお肉募金やご支援、そして全行程を共にしてくれた伊藤樹選手など多くの協力に支えられ、長期遠征を実現することができました。

 

毎日が本当に濃密な日々でしたが、中でも、テストレースロングで過去一と言える良い走りができ初めて30位台が現実的な目標と感じられたこと、フランスの激難テレインで昨日も今日も大ツボリしながら何度も自分の技術の限界と向き合い続けた経験は宝物です。

 

遠征期間中の様子やレースレポートを4本の動画にまとめていますので、お時間があれば見てくださると嬉しいです。(これらはご支援いただいた方に遠征中配信していた限定公開コンテンツです。概要欄に過去3本分のリンクがあります。)

 

https://youtu.be/5MozpB3ZHnQ

 

表彰式にて
表彰式にて

<全日本選手権> 

ミドル、ロング 女子選手権クラス 優勝

リレー 女子選手権クラス 神奈川県チーム 3位

スプリント ポストスルーにより失格

 

秋に行われたミドル・ロングの全日本大会は、香港や複数のヨーロッパからたくさんの海外選手の参加があり例年と一味違う盛り上がりや緊張感がありました。

特に4連覇をかけていたロングは世界ランキング上位の選手もいる中で、序盤から攻めた走りで勝負をかけて全体のトップで優勝できたことは、とても良い経験になりました。

 

OSJ新城テレ居る32㎞ 表彰式にて 女子総合4位
OSJ新城テレ居る32㎞ 表彰式にて 女子総合4位

<その他レース>

 

2024/1/28 勝田フルマラソン 3:17:23(初PB)

2024/3/2 OMO奥武蔵マウンテンオリエンテーリング エリートソロ 優勝(参考記録) 

2024/3/23 OSJ新城トレイル32km 女子総合4位

 

 

今期は夏のWOCにフルフォーカスしていたため、秋以降は空気が抜けた風船のようになってしまい、その他競技への参加も少なくなりました。自分にとってWOCへの夢がいかに大きく日常の活力となっていたかを実感しました。2024年に入ってからは今まで避けてきた長距離のレースにいくつか挑戦し、普段と違う出力や集中力のコントロールに苦労しながらも一定の結果を残すことができたことは嬉しく思います。

 

 

 

■最後に

 今期をもってTEAM阿闍梨のサポートアスリートを卒業することとなりました。

2018年から長きに渡り活動を応援し支えてくださり、心から感謝申し上げます。アスリートとしての自覚と自信を与えてくれただけでなく、多くの新しい関りや挑戦の機会をいただいてきました。また、コロナ禍で大会シーズンが遠くモチベーション維持も大変だった時、常に応援してくれる存在がいることはとても有難く心強かったです。今後も全日本大会や12月にタイで開催されるアジア選手権は優勝を狙っていますし、地図読み&ナビゲーション好きな皆様といろんな場で交流していきたいと思っております。まだまだ私のオリエンティアとしての挑戦は続きますので、これからもよろしくお願いいたします。