総合優勝!チーム大安(柳下・安斎)のルート解説

圧倒的な強さで優勝した、『チーム大安』。去年の菅平ロゲイニングで柳下が故障してしまったことを除けば、すべてのロゲイニング大会で優勝をしている安斎と柳下。日本で最強のロゲイニングチャンピオンは、いよいよ10月オーストラリアで行われるロゲイニング世界選手権に臨む予定(出場問合せ中)。こちらも乞うご期待!

さっそく柳下から今回のロゲイニングルート解説が届いているのでどうぞご覧ください。

■スタートまで

地図を開くとまず根子岳の300点が目に入ってきたが、その他のCPがばらけていて取りづらそう。とりあえずここは後回しになるだろう。次に市街地の地図を取り出してみると、予想より広範囲にCPが置かれている。最も遠いエリアは川を渡った山塊だ。川を渡るところまでで片道20kmあるので、この山塊まで行くと45kmぐらい。散りばめられたCPを取っていくと、60km近くになりそう。大松山エリアを含めると65kmぐらいか。この時点で網羅的に取っていくと根子岳は厳しくなることが判断できた。そこで市街地をある程度で見切りをつけて根子岳を視野に入れる可能性を検討した。根子岳に登るには会場付近から3時間ほど確保する必要があるが、市街地にいる時点でそれを見積もることは難しそう。もし2時間半前に会場付近戻ってくるぐらいになってしまったら一番もったいない。であれば根子岳のことは考えず、網羅的に取っていくほうがいいだろう。市街地エリアを無駄のないラインで結ぶことに集中し始めた。

まずアプローチであるが、大松山方面は取り方のバリエーションが多いので後回しにして、国道から降りるプランにした。ラインに乗ってこない83と128のうち、点数も低くリスクも高そうな83は捨てることにした。最奥の山塊は橋が2箇所しかなく、川を横切るのは不可能そう。ここ単発で考えるとなかなかベストルートが浮かんでこないが、前後とつないで考えると南から入って南から出るのが良さそうということになった。77-(90,122,66)-59の流れ。最初捨てるつもりだった130を含めることでよい回り方が完成した。序盤は点数が低いが20から順にとって行こう。ということでスタートからの方向も決まった。

 

■S-20-32-31-35

20,32はいいとして31,35は微妙に時間がかかりそう。しかし難易度は低め。最後で中途半端に時間が余るのはもったいないので、取り残しをしないように取っていくほうがいいという判断で取りにいった。32は上から行くと道がなく苦戦を余儀なくされた。

 

■34-128

ひたすら国道を下る。1時間の間に34しか取っていない。ライトは基本的に消していて、車が来たら点けるの繰り返し。128の尾根では多くのチームに会う。最大のライバルチーム野獣もここですれ違う。彼らは20,31or35はきっと取っていないと推測した。タイム差からするとほどほどのところか。下りで柳下転倒。手を負傷する。

 

■62-72-82-63-41-33-77

ナビゲーションの必要なエリアだが、順調にこなす。82でオーバーランしたらしいチーム野獣に追いつく。得点では上回っているはずなので有利に進められそうだ。しばらくは前後しながら進む。しかし77で2つほどミスをして10分近いロス。ここでチーム野獣とは離れ以後あうことはなかった。77以降はルートが分かれそうだったので、離れたことはむしろ好都合と考えた。

 

■90-122-66

川向こうの山塊は90から攻める。が、沢沿いの道が途中で終わっていた。何とか尾根線まで行こうと頑張るが、猛烈な竹藪で突破不可能。20分近いロス。地図のウソに怒りを覚える。カッカしながらも西からのルートに切り替える。雨もパラパラ降ってきて、気分は重い。でもその後は小ロスで済ましこのエリアを終了する。気分転換を兼ねて西友の先の自販機で飲み物を買い小休止。

 

■59-100-71-46-130-42

次第に薄明るくなってくる。100は一段低い位置にあるためわかりづらかった。夜間ここに来たチームは苦労したみたいだ。71ではもはやライトはいらなくなる。130へは林道を延々登る。懸案事項は果たして42へ降りれるのかどうか。そればかり気になる。安斎さんもここは不安のようだ。リスクもあるが、ここが勝負のポイント。行くしかないだろう。実際には植生も良く、あっけないほどスムーズだった。ここでいままでのロス分は帳消しできた心境だった。

 

■115-110

いわゆるヤマ場は終わった。ゴールへの安全圏内にも確実にいる。あとはいかに得点を積み重ねられるか、42を取ったあと林道を歩きながら考えていた。当初は70を先にとる案で考えていたが、やはり大松山は確実に押さえたいということで、110を先に取る案に換えた。110到着は8時ぐらいだろうと予測した。最悪8時半でも70,101,50,23を取ってゴールに間に合いそう。余裕をみて58,30,61,24あたりをオプションにしようと決めた。115まではイメージよりも時間がかかったが、林道から離れてからの一気登りは快調で、大松山には7:50前に到着した。

 

■70-101-50-58-30-23-61-24-G

この時間ならオプションは全部取れそう。さらに40も視野に入るのでは、とちょっとピッチを上げてみる。40を狙えるかどうかのギリギリの緊張感を楽しみに終盤は走っていた。が、58を下りから安斎さんの疲労が顕著になり無理と判断。確実に61,24を取ってゴールへ向かった。


ポイントになったのが、やはり130のCPではないかと思います。これを含めることにより、100-71-46-130-42というスムーズなラインが出来上がります。リタイアになったものの2位相当の得点をだしている、とれいるざんまいもこの流れだったようです。(さらに115-110というのも同じだったようです)ただし1/25000図からだと、どの程度困難かわからないので、今回は多少の賭けも必要だったことを付け加えておきます。

 

現実的に狙える最高点としては、チーム大安としてはあとは40を取るぐらいが限界だったと思います。もう少し走力があるチームなら、25、60も可能でしょう。なお、根子岳を含めたプランを考えると、90,122,66を捨てて(-1.5H)、根子岳(+2.5H)にいけば+22点になりますが、1時間以上早く走る力が必要です。それなら83,65あたりを取りにいくほうが点が伸びます。2時間分ぐらい巡航が早ければ根子岳登頂がようやく現実的になってくると思います。(世界レベルだとそれぐらい?)