リーダー村越が出場するアドベンチャーレースは年に1度か2度。今年は過去2回出場しチャレンジ心を奮い立たせるAzumino2daysは、本業オリエンテーリングの世界選手権参加のため不参加。よって以前よりSueさん、正人さんからぜひ出場してほしい!といわれていた里山アドベンチャーレースに出場することに。
本人、来年のアドベンチャースポーツマガジンへの記事投稿のためにもやる気満々。次回のキャッチコピーは、『ナイトを制するものはレースを制するだ!』とかなりそれが気に入り、きっと里山はナイトステージがあるに違いないと踏んでの参加表明となる。がしかし。。。
も一人のメンバーは以前からアドベンチャーレースに興味あって入間市オリエンテーリングクラブ所属でMTBオリエンテーリング世界選手権の日本代表選手の経験がある宮林さん。パワーめちゃくちゃあるのでした。過去エクストリームの大会に出たことはあるが2日続けて、ナイトステージのアドベンチャーレース等、本格的なレースは未経験。
6月
菅平ロゲイニング12時間の部に村越、田島で出場。村越、体調不良と言うもののレースが始まれば元気になる。いつものこと。ナイトナビゲーションをしてよい経験となる。
村越、オリエンティアチックで時たま細かい地図読みとルートチョイスに田島がたまに注文をつける。
”1;25000の地図だしいくら最短ルートとは言ってもこの先どうなっているかわからない。リスクをとるより安全なルートを選んだほうがいいでしょ、ピークを通って下ったほうがいいよ、だからこっち”、”地図がおかしいという村越に”確かに地図は違うけれど、あそこに見えるの尾根でしょ、あれしかないよ、ここはもう沢だし。だからこのまままっすぐ”、”確かに距離感は違うけれど今まで道の分岐はなかったじゃない?だから今ここでこっちに行くの”ときちんとした根拠を述べてムラコシを納得させること数回。”いや利佳ちゃんどうしちゃったの?すごい!”と感心している。失礼な。あのー、私あなたの元でコーチングも受けてたんですよ。一応日本代表だったのと言う。それはおいといて、私達のようにオリエンテーリングの詳細な地図、縮尺大きい地図に慣れていると1;25000の地図読みやルート取りは最初は難しい。私も最初は良く分からなかったが、慣れでどこまで地形が書かれているか、うそっぽいか、ルートどりはどうかなどなど判断がついてくるようになった。このロゲインでは12時間もの間マップコンタクトをし続けたのでコツも分かってきた。オリエンテーリングとは少しモードを変えること、レースに対しても必ずしもひょっとして自分らと同じ感覚の位置にコントロールが置いていないかもしれないこと、などこのロゲインではいろいろと学ぶことができた。これらは里山アドベンチャー当日の村越のルート取りにも活かされることになる。順調にこなしていくものの明け方、”桃の天然水”が体に合わなかったのか、田島が体調不良に陥りブレーキがかかり結果は3位。とほほ。
7月
AZUMINO2days4にTac杉山、宮林、田島で出場。宮林は本格的な2日間のアドベンチャーレースとナイトステージを体験。ここで宮林、田島はTac杉山の性格とレース運びををよく知ることになる。(いや田島は前から知っていたが)
村越、デンマークで世界選手権参戦中。46歳にして3年ぶりに日本代表選手として復活。命を削って準備をし、善戦するものの予選敗退。果たしてアドベンチャーレースやる気力があるのだろうか、やや心配。
8月
27日;村越、うっぴ皆川、田島、レースには参戦しないが柳下と4人で水上のカッパClubへ遊びを兼ねてラフティングと懸垂下降の練習。イーストウィンドが主催する事前講習会にはオリエンテーリングイベントと重なって2回とも参加することができない。自主練習の形となるが、ラフティングのガイドは正人氏が当たり前のように我々のグループについてくれ、指示の出し方など他のグループとはちと毛色が違ったかも。5-6mの岩崖からジャンプ2回!はぁ、しんどい。ウッピちゃんが躊躇なく飛び込むのに驚くのであった。
懸垂下降は水紀行館のクライミングルームにて。スタッフのご厚意により空中懸垂下降のセッティングをしてわざわざ指導してくださった。ありがたい。
宮林は同じ週に北アルプス山麓アドベンチャーゲームに出場しており見事優勝。懸垂下降、ラフティングはやはりやったことがないということで、単独で9月の講習会に参加することになった。
28日;飯能周辺にて村越、田島がMTBツーリング。主に村越のシングルトラック練習。去年は田島がとにかくMTBが苦手で遅くてイヤになっていたが、今年に入って地元のサイクルクラブにお世話になり始め(このままではMTBも楽しくなくなるしレースでもっと乗れなくては面白くないしつらいだけ!ということから)それなりに乗れるようになって立場逆転?でも村越はなかなか調子よさそう。
9月
1日;宮林、田島、もぐでクライミングジムへ遊び&練習しにいく。少しでも高さとロープに慣れること。とっても楽しかった。
田島、ここで高いのは依然怖いが、きちんと装備とロープの扱いをきちんとすれば問題なし!と自信になる。ロープちゃんたちに信頼をもつことができるようになった
依然、3人とも多忙で事前に打合せ、顔合わせする時間がとれない。宮林&田島、村越&田島の組み合わせはあるが、宮林&村越は顔を合わせたことなし。宮林はいわゆる神とか伝説のとか言われちゃっている村越を当然知っているのだが。萎縮しなければいいけれど。果たしていったいどうなるんでしょーか。
22日(金)
奥多摩ナイトトレッキング&ラン。ハセツネの試走をかねて。村越はナイトステージをもくろんで静岡からわざわざ参加。話を聞いているとどうも心身ともに状態がよろしくない。この人は去年秋ごろから体調不良で、うつ状態や自律神経失調の症状が出ていて、真面目に薬物を服用をしている。それを『XXX飲んでるんだ!よく効くよ』なんてニコニコしながらいうのもどうかと思うが(詳細はブログをどうぞ;世界選手権ついでにチャレンジ)、気分障害が出てきてしまうとどうしようもない。本来ならレース前にチームで目標やら意思確認をするのだが、『あまり優勝とかなんとかいうと追い詰められちゃうからやめて。。。』とさえ言われる。出場すら危うい状況。これ真面目な話。なので、チームの目標は『着実にCPを取って完走!』ということにして極力濃い話は避け、これとこれを用意しておいてちょうだい!と事務的なメールを田島が投げ続ける。
直前になって装備準備などに変更が発生。レース前日金曜までにチーム3人分のMTBを輸送と装備チェックは義務だと言われる。何で直前にここまでのことになるのか非常に疑問。コース設定が直前にまで及んだからなのだろう。もう少し早めのアナウンスがあればまだいいが、初心者にも参加者にも優しくない。我々も大会運営をしているため、こういった部分は目が向きやすいしきちんとケアしたいところ。がとりあえず仕方がない。私たちもできるだけのことをしなくては。
28日(木);
当日にしか会場入りできない宮林の自転車を田島が預かる。この2人車で15分ほどの近所同士。この時初めて宮林から『今回の目標は?優勝ですよね?』と言われるのだが、村越の状態を説明して理解してもらう。
田島、MTBのSPDペダルをどうするかげんじんさんこと高梨さんに相談。田島は今年に入って本格的にMTBをやり始めていてSPDに慣れていたのだ。でもアドベンチャーレースではどうしたらよいのかよくわからない。げんじんさんはスタッフながらネタばれしないように丁寧にアドバイスをしてくれた。基本的に私たちは安曇野・北アドにしか出場したことなく、ここまで多くの種目をこなしたことがないので勝手がよくわからない。伊豆アドベンチャーレースを経験している他のチームのほうがよっぽど事情も流れも把握しているだろう。そういう意味で私たちは基本的にアドベンチャーレースに対して素人で経験がないのだ。今までなら一緒にチームを組んでいた経験豊かな動物さんがいていろいろとアドバイスをしてくれたが(田島いわく、動物さんは私たちの母なり)、今回はいない。少しでもなんとかしようとした時に、こうやって親身になってアドバイスをしてくださるのはとても心強い。ありがとうございます。
29日(金)レース前日
村越は3日間北海道出張。金曜15時に羽田到着、その後飯能にきて田島をピックアップ。3台のMTBを載せ、いざ水上へ。運転は田島が務め、村越は休む。この間MTB/自転車のレーパンについて話が盛り上がる。田島、”なんでパンツのラインがエロいのだ”男心は全くわからんと憤慨!?チーム崩壊の危機?
22時前、会場到着。暗い中参加者がガサゴソ義務装備チェックの準備、トランジットに運ばれるMTBの準備をしている。
村越、アリの襲撃に会う。なぜ?
われら、忘れ物・なくし物大王、なかなか荷物の収集がつかない。無理やりなんとかしてチェックを受ける。そのスタッフはなんと宮内嬢。3月以来こんにちは。なんかたくましくなったんじゃないとベタベタさわり、仕事の中断をさせる。
寝るまもなくスタッフの皆様本当にお疲れ様です。
無事チェックが済み、水上温泉街のホテルに宿泊。つかの間の休息。それにしてもこのレトロチックな街並み、いいですね。
部屋で再び装備のチェック。トランジット多く、預ける荷物、受け取る荷物、持って行くものなど複雑で眠気も手伝ってなかなか進まない。やや不機嫌。しかし温泉に入ってすっかりご機嫌♪
30日(土)レース当日
5時起床のはずが、宿の電話で起こされると5時半。
6時会場へ。ちょうど宮林も到着したところ。
宮林&村越、初めましてのご挨拶
朝食を取りながら準備、準備、準備。3人でレースの流れを打合せするがどうも村越は頭に入っていかないもよう。お客さん困りますよといったところ。とにかく村越にはナビに徹底してもらい、フィジカルの部分では宮林が田島のフォローをすること、田島はゼーゼーいいながらもチーム全体を見ながらあれこれ適当に言っていくことにする。
7;00 ブリーフィング開始。43チームもの選手が集まる。ヒルよけスプレーはつけたし、熊退治スプレーも完璧なり。
コースとポイントの把握。この詳細部分は目をキラキラさせている村越に任せて、田島は競技説明ブックの熟読開始。宮林はルートの距離を測る
8;00 スタート!
直前にこの日初めて会うウッピちゃんがすんごい厚着をしていることに気づく。そんなの脱げ脱げ!と田島が脱がせる。セクハラでない。
坂道をジャンジャン登る。最初はみんなガンガン走るが気づくと我々は先頭に立ち、すぐ後ろにはやっぱりターザンがいるのであった。
CP1はコンタがひどくつまった沢をトラバースしての尾根上。林道の終わりまで来るとターザンはすでに途中から尾根周りをした模様。なるほどね。ここでどちらのルートを取るか考えるが、ぱっと見ると尾根回りの風景はすごい崖がそそり立っている。あんなの危なすぎるというので沢をいったん下って登り返しのアプローチ。クライミングの体重移動が役に立ったよというくらいの斜面で落ちたらとんでもないことになりそうだが無事到着。ターザンもほぼ一緒。ルートは違えど同じくらいに到着するあたりがオリエンテーリングと変わらない。感動。
すでにここでは事故が発生していたもよう。その尾根たどりルートの崖から滑落し大怪我、ヘリで選手が運ばれる事態となった。救済に当たった2チームと迅速な処置で無事に病院に運ばれ手術が済んだとのこと。大自然の中でのレースは常に危険が伴う。危機管理を常に持ちながらレースを進めたい。
それにしてもCP1,CP2はボディーブローどころか(競技責任者の正人氏いわく)、ノックダウン寸前のハードさ。これでは初心者には易しいなんてとんでもなく言えず(私たちでさえやばいと思っていた)、アドベンチャーレース導入のレース、もしくは初心者でも参加できる本格的なレースとしてもいかがなものだろうか、、と思うのであった。
CP3のMTBトランジットまではターザン、マイメロディさんと通るラインは違うもののペースは一緒でチェックも一緒。村越が道を発見したとき”あった!”というので田島が、”それじゃ他のチームにばれるから、『俺ってすげえ』に変更してください。そう思ってるでしょ?”というが苦笑いするものの最後までそう言わなかった。残念。
CPへのラインをややロスしてしまい、トランジットに到着するとすでにターザンはいなかった。
CP5の水紀行館までMTB。楽しい下り!しかしー、村越は思っていた以上に遅い。田島、えらそうに、”村越さんもっと頭下げて!腕、肩をリラックスさせて!”と言うがそう簡単にはできない。
田島先頭に立ち、後ろを見ながら村越を引っ張る。
ふと気づくと宮林の姿がない。
3-4分たっても現れない、転倒?宮林に限って?戻って様子を見に行く途中にマイメロディに先行される。
5分経過。宮林が現れる。なんでも牽引に使おうとしていたゴムが絡まってしまったそうだ。棒まで作れずブラブラさせていたのがいけなかったか。ややもったいない。が、怪我でなくてよかった。
『ムラコシサン下り怖い?』、『うん、ちょっと』、『OK、わかった』。ペースを見ながらその後はゆっくりながらも順調。下りのシングルトラックはとっても楽しい!
トランジットへ3位で到着。MTBの不要なものをいれ出発しようとするが、村越は丁寧に地図をMTBのミリーにセットしている。
田島、”村越さん、これから山岳ランだよ、何やってるの?!”で村越、やっと流れを把握する。この人本当に大丈夫だろうか?
トップとの差はたぶん5分くらいだろう。スタートして1.5時間たって走りやすい、歩きやすいところまでやっときたので、補給をドンドンしていくようにする。
先の2チームは見えないがあわてない。この長いステージで必ず追いつくはずだ。私たちはフィジカルではそうは遅くない。
CP7へ行く途中、取材班に遭遇。トップとの差を聞く。2位は100mも離れていない、ターザンは数分前とのこと。
CP7からCP8へはルートが分かれそう、少し後ろにいるマイメロディにルートを見えないようにささっと動くが、尾根への壁登りの取り付きで発見されてしまった。同じルート、ペースになるとまずいので、ここは頑張ってガシガシ登る。
やっと稜線につくときれいな風景!しかし足場は悪い。が、じゃんじゃん進む。
途中田島、右ふくらはぎが猛烈につってしまいしゃがみこむ!
宮林が足を延ばしてくれるが納まりそうにない。後ろからはマイメロディの気配が感じられていたので無理して進む。
やがて後ろの気配もしなくなったがターザンの気配もしない。熊の気配がややする。
途中、村越が何度も靴紐が解けて止まって縛りなおすを繰り返す。休憩できていいやと思うようにしたが、ターザンに追いつくチャンスでイケイケムードなだけにこれはいただけない。本業のオリエンテーリングレースだったら、レース前にきちんと靴紐をテープで解けないように準備しているはずだ。それがアドベンチャーレースではしていないとは、やはり気持ちの部分でどこか甘いのだろう。それは分かっていたことだが田島イライラ。クリティカルでないミスや行為も場合によってはチームに影響を与える。でも村越の負けず嫌いでいいところはきちんと翌日はレース前に白いテーピングテープで靴紐を縛っていたことだ(最初だけだったけど)。笑ったー。
宮林はこういった村越と田島の掛け合いにまだ萎縮している模様?何しろ神の村越である。メチャクチャ人間くさいのに。
田島、『宮林さん、ムラコシサンがへんなことしてたりおかしいと思ったらじゃんじゃんいってくださいね。遠慮しないで。あーだーこーだー言っていますけど、たぶんホントは仲はいいはず。。』
宮林、『そんな文句だなんて。。。いやー、平和に行きましょう。』
CP11までどんどん藪が濃くなることは知っていたので、ひたすら耐える。なえるー、飽きたー、熊ちゃんどっかいってーなどといいながらも基本的には止まらず先に進む。安曇野のアドベンチャーレースにて夜間のもっと密度の濃い笹薮のぼりを経験していたためなんとか耐えられたが、それでもいやだった。途中、村越の進むラインがずれるのを後ろから声をかけて修正したり正しい方向を確認した。また体力ありあまる村越がガシガシ前を進み離れて見えなくなってしまうと後ろのメンバーの気持ちも萎えるし、通るルートのラインの判断がさらに遅くなるため、見える範囲にいてくれとお願いした。私たちは足場の悪いところや藪でもタフに進める力はある。そしていかに足場のよいところ、通りやすいところを通っていく判断も秀でている。その判断をする先を行く村越のあとをついていけば後続は楽なはず。村越が行くルートなら自分も通れて安全で精神的にも不安にならずに進める、ペースも落ちずにすむ。だからなるべく離れないで。ときちんとそうだねと思わせる理由を話して納得してもらう。常にそういったことの繰り返し。個人競技のオリエンテーリングをメインにやっている私たちにとって、チームで行うアドベンチャーレースは慣れていない。レース中からも学ぶことはたくさんある。もっとも田島がもっと早いペースで進めればいいに越したことはないのだが。
CP11に到着!スタッフ2名がいた。人に会えてほっとした。ターザンはすぐ前にいったばかり。ここでまず一番にテーピングテープで靴紐をしばる(しつこいでしょ)。そして補給。4分も休憩してますよ!と宮内に急かされて出発!ああなんて道があるところを進むって楽チンなんだろう。極楽じゃ。
CP12は登山道をつないで。下手に情報がある標識や分岐に惑わされそうになるが、標高を高度計でチェック、方向と地形を確認して正しくガンガン降りていく。後ろから声がして、3位チームが来たのかと振り向くがいなかった。CP12に着いた時はなんとトップ!一生懸命走って下っていても彼らの姿を捉えることができなかったのでどうしたものかと思っていた。たぶんターザンは途中の分岐で降りてしまったのかもしれない。前後に見えなくともいつの間にか逆転しているってこういうことなんだな、UNITE-Xのはやかわさんがいっていたのはこれだったんだ。
GPS観戦も今盛り上がっているに違いないと思いつつCP13のMTBトランジットを目指してガンガン下っていくのだった。
田島の里山アドベンチャーその2