レース数ヶ月前
リーダー村越から、レースへの誘いがかかる。麻薬みたいなもので1年に1度くらいはアドベンチャーレースに出たい、とのこと。
正直、去年9月のの里山アドベンチャーレースは楽しかったのだが、非常にストレスも感じていて、同じ展開や準備とチームの意識であるなら出たくなかった。
里山では相変わらずリーダーのナビゲーションは完璧だったったが、病状が芳しくなかったとはいえ、その他はさっぱりだったのだ。レース当日にメンバー初顔合わせ、初参加ということも影響あるだろう。レースはまれに見るデットヒートで、2日間で44秒差で結局負けたのだが、それを、スタッフをしていたトップレーサーのげんじんさん(高梨さん)は、
『ターザンは何が何でも勝とう、阿闍梨は負けたくないと思ってレースをした、その差だ』と評した。的を得たコメント。
アドベンチャーレースは個人競技ではない、チーム戦だ。いくらナビができてもその他がイマイチなら、チームとして圧倒的なアドバンテージにはならない。それにフィジカル的に阿闍梨は私にとって厳しいので、体も心もボロボロになるのである。腰が引けていた。
なので、返事としては
『今回阿闍梨で一緒に出るのなら、もう2位も3位もいやなので、圧倒的に優勝したい!といった目標で出るのならいいよ。ムラコシサンはMTBをSPDにして練習すること。装備について気を配ること、それでOKなら、私も他の種目を練習したりフィジカルアップして準備をするから。』この発言はかなりきついかと思ったのだが、やはりその気にさせたようだ。内心、しまった!と思ったのは内緒。
リーダーのスケジュールから今年はAdvent Japanが主催する7月のAzumino 2days-5に出場することに決定した。リーダー2年ぶりの本大会参加、小林さんとの対決?である。
メンバーはあれこれ考えたのだが、里山からの反省と課題をきちんと次へ活かしたいので宮林と3人で再び組むことに決定。
7/8(日)本栖湖でチーム顔合わせ
メールで準備のやり取りは始めていたが、レース1週間前に初顔合わせ。このメンバーは去年の里山アドベンチャーレース2度目。
ここまでリーダーはMTBのSPDに慣れること、宮林は牽引棒を作っておくこと、田島はフィジカルのベースを上げることを課題にしてやってきたつもり。今回はMTBの移動がメインとなる。また宮林がチームと村越になれて発言ができるよう、全体的な流れを見られるようにすることなどを画策した(つもり)。
とりあえずメンバーのフィジカルとテクニックの把握のためにMTBツーリングに出かける前、村越がSPDシューズを履いていないことに気づく。なぜ?と問うと、慣れていないし立ちごけするし、荷物になるし、履き替えが面倒だからやめようと思うんだ、と。田島カチン!
『村越さんのトレランシューズは当日私が持ちますからビンディングシューズにしてください。』
今回はMTBの移動がほとんどで100km近くと思われる。3年前の同レースで途中リーダーがフラットなところで筋疲労となりペースダウンしたことがショックだった。それがまたあると不安。絶対(と言い切ったが本当)、専用シューズのほうが楽なはずなのだからそうしてと言うが、それでもごにょごにょごにょ、村越には村越の言い分がある。宮林、途中フォロー。
正直がっかり、最後に『だから早く替えて練習しといてといったでしょ、チームで新しいことやらなきゃ面白くないですよ!』的な捨て台詞を吐き、この件はもう終わりとする。来週出なくていいなら出たくない、なんのため、OKしてアドベンチャーレースに出ようとしたのかよくわからんと、やや感情的になった。その良し悪しは、やってみないとわからないじゃないか。
結局スタートするときには、リーダーは専用シューズを履いていた。当日どうするかは知らない。
約2時間のツーリングはとっても楽しかった!フィジカル、MTBのテクニックをそれぞれ把握。
基本的に田島のフィジカルのスピードがチームの巡航速度になっていくため、随所で、”maxでもこれくらいのスピードになると思うんですが、どうでしょう?”。”これくらいのペースなら2時間、もちょっと落とせば6時間”と2人に聞いたり言ったりする。
ロープワークと射撃の練習もした。本当の獣道に突入、立派な角を持った鹿にもあった。
最後に地図を見ながら装備の確認、レースの流れの打合せ。小林さんとの勝負に鼻息荒い村越は相変わらずだが、グイグイ引っ張るのはかまわないが、ちゃんと目を後ろにつけて進んでとお願いする。
レース前日;7/13(金)
宮林号で高速道路を走っている途中、主催者小林さんより電話が。
台風がやってくるため、1日日程をずらして15日6時スタートとのこと。
ま、いっか、やっていない磁北線を引いたり、温泉めぐりしませうと一気にのんびりモードへ。
直後、リーダー村越より電話あり。
身延線落石事故で電車止まっちゃってるとのこと。
すでにアドベンチャーモード、電話でやりとりし地図見ながら合流場所を変更、再設定。
携帯電話って素晴らしい。便利な世の中よねー。
大会会場からたった2キロあるかどうかのセツ家に到着したのは22時過ぎであった。。。
北欧風の豪邸、木のにおいに癒される。彼らに会うのは数年ぶりひさしぶり。5人の子どもたちは大興奮。
7/14(土)
7;30、TEAM孫阿闍梨のゼントクから電話。
今日レース開催、しかも30分早まって9時半スタート。なんですとー。
えっと、レース中の主食用意してないんですけど。
シュウコが朝食を用意してくれたが、それを尻目に3人黙々とレース準備を始める。
5人の子どもたち、興味あるが真剣に集中しておしゃべりもせずガサゴソやっている3人の気迫に圧倒されたか、遠巻きに静かに見ているだけ。
8;30
駆け足で朝食頂き軽くロストしながら会場へ。
皆さん勢ぞろい、さすがだ。全17チームちゃんといるよ。
受付。後から気づくがこの時なぜかビブNo.11をもらう。本当はNo.8だったらしい。
準備、準備、準備
簡単なブリーフィング。その後リーダーが集められるている間、我々はつめ切れていない準備を。
5分後、リーダー村越の下に行くと、すでに航空写真CPから地形図に位置を確定し終わっていたところ。
早川ツインズ、他スタッフがその様子を見守っていた。注目ですなあ、リーダー。
げ、もう終わったの?あわてず普通に歩いていきましょう。
無線を持たぬわれら、携帯電話は圏外だが一応連絡先は小林さんでよいか確認する。
わさわさスタート準備をしているとセツファミリー登場。スタートの様子を見に来たのだ。
自転車乗って、ヘルメットかぶっている様子にまた子どもたちは???
9;32分ごろそっと会場を後にした。
CP10、トランジットへ
林道ビュービュー下るスタートからたった5分で先頭を行く田島、黒く動くもの発見!
黒!=>熊!=>コワ!=>ヤバ!
ヤツは前方を逃げている。不謹慎だがそのおしりとどんくささ(いや速いんだけど)がかわいい。
黙ってそ知らぬふりして通り過ぎるべしと、チームメイトにも告げず、さらにスピードを上げて小熊を追い越そうとしようとここまで考えること1秒。そのうち横藪にヤツは逃げ込んだ。近くには母熊がいるはずだ。ちなみにリーダーは12年前赤城山で熊と正面きって1mで退治?した経験を持つ。確か去年の戸隠でも似たようなことが。。。
宮林のカウンターソルト(熊よけスプレー)この後出番なければいいけれど。。
雨がひどい。
クリアタイプのサングラスをかけるのを忘れていたため、主要道にでて一瞬止まってもらう。2分ぐらい。もったいない。
リーダーのナビは順調。フラット、下りスピードに乗りながらスムーズなギアチェンジできるようになれば、もっと無駄なく楽に自転車に乗れるね。と偉そうに思う。あ、そいえばSPDにシューズで走ってるジャン。
いよいよ林道北沢線入り口。登りのみとリーダーがいう。up約1000m。。。2年前の保福寺峠を思い出す。
リーダー、サングラスは?忘れてきたらしい。ふぅ。
宮林特製の牽引棒(2度改良)で牽引のテストをしながら登っていく。
基本、田島はMTB区間は地図読みをしない、この2人がいるならする必要もなくフィジカル頑張るのみ。ただ、自分がどこに向かっているか、後どれくらい進むのか登るのか、そういった情報がなければ、よしここはがんばる、ふんばる、やや楽に、、のタイミングがわからないので、情報の提供は自ら求め、リーダーや宮林からも適所で与えてもらうようにして、チームで同意識を持つようにしていた。
まだ元気であったが宮林から牽引をしてもらう。
強引な牽引でなく、田島のペースでいながら一定のペースにして淡々と登っていくこと。つい疲れたりいやになるとダレてサボりがちになるので、このペースの牽引は非常に有効であった。しかし怪力だ、宮林さん。
体は、さすがに里山のときよりかはよく動く。少しの時間ずつでも1か月、継続的にきちんと運動していたことがプラスに働いているのだろう。大いに自信になる。
満願寺入り口の渡り廊下はすごく立派、由緒ある寺なのだろう。
雨、雨、雨。霧、霧、霧。天気がよければ常念岳を始め、景色いいんだろうなあ。残念。
途中、バイクパンツと下着パンツがすれてどうしても我慢ならなかったので、脱ぐこと決意。
面倒くさいのでガバッと脱ぐ。生バイクパンツだ、いよいよ。服装についても再考するべき。生レーパンになるのレーパンはかないのかどうするのか。休憩含め5分強。ひたすら登れ。
なんでこんな立派な舗装道路が続くのだろう。
やがて路面は川チックな流れでてくる。
明らかにアンナ感じやこんな感じの動物の糞がたくさん。
1回補給のために止まる。少し止まるだけでやや筋肉が回復。
3人静かに登っていたが、車のエンジン音が後ろからしてきた。
早川号はじめスタッフの車2台が。やはりこの道で合ってるんだねーというと、リーダーは当然だ!と。
相変わらずな言い方である。いやいやそれはそうなんだけど、チームとしては、合っているのは自信になるし励みになり、よりGO!となるのだから、そういう言い方じゃなくて、盛り上げる言い方しましょうよ的なことを言う。
やっと尾根線が見えてきたよと思ったら、サルの群れが。そしてウサギが逃げる。ガマガエルは地面にぺたっとはりついている。
いよいよクタクタ。3人ともお尻痛いよーと立ち漕ぎしながら。荷物のせいか。
あそこの鞍部だよとリーダーが指差し教えてくれる。あとちょっと。
あと少しというところでさっき抜かした2台の車が戻っていく、はて??
スタートから2時間半弱、トランジットと思われる場所に到着。しかし誰もいない。
すぐに早川号が戻ってきた。スタッフも場所特定に迷っているとかなんとか。。
荷物到着するまでしばし時間あり。リーダーはそのうちプンプンしだすが、トップチームにはこういうことはよくあるから、気にしない、気にしない、今のうちにトレッキング準備できることをしておきまししょ、と言う。あまりにも遅ければレース後抗議(提訴?)すればいい。
荷物を受け取り、早川号立ち去るが、ここで次どうしたらいいか指示をもらっていなかったことに気づく。一度に聞いとくべきだった、反省。
宮林がMTBで追いかけ、再びはやかわ号を呼びとめ指示を仰ぐ。
うーん、全部で10分程度かな。濡れた衣類を全部着替えられて補給食取れて休めたのでよかった、よかった。
いよいよラインOへ
無線で連絡を取っていた早川氏より次行くCPのヒントをもらう。わーい。
リーダーすぐさま、あれだ!と東のピークを指差す。
GPS持った?チェックカードは?ライトは?と確認しながら。
ハンディライトいらないかな?と言っているが、ビバークする可能性もあるのから持っていくべしと言う。
笑っていたが、本当にそういうことはありえる。ナビゲーションの遅れは問題ない我々だが、予期せぬアクシデントが起こり停滞する可能性はありえる。どうもこのチームはナビが優秀なゆえ、それ以外の危機管理について意識が低いように思える。足元すくわれることあるんだよ、自然に向かってるんですよ。これはトレッキング途中でも起こった。今後の課題になるだろう。
つづくー。