地図?尾根と谷の区別つかない、茶色いうねうねしているの何?等高線?うーん、なんだかわからない、イヤ!といきなり地図を見せられるても拒絶反応しちゃうかもしれませんね。
そこで富士山麓ロゲイニングでは新たな試みとして赤色立体図を投入することにしました。
何それ?興味ある方、以下の地図を見比べてください。そしてリーダー村越の解説をどうぞ。地図マニアにも嬉しい内容でしょうか。
これで読図に不安があるあなたも、ひょっとしたらすいすい地図を読んで森の中を探検できるかもしれません。
富士山麓ロゲイニングの開催は9月12日(日)。どうぞ富士の森をお楽しみください!
地図①
地図②
地図③
本大会で提供する地図について
すでに本サイトのニュースでもお知らせしたとおり、アジア航測様のご厚意により、富士山麓地区のレーザー測量データ等の提供を受けました。本大会では、それらのデータを試行的に利用します。これにより、地形図をはるかに凌ぐ正確な地図データを得るとともに、読図に不安のある皆様にも、富士地区のフィールドの特徴である地形を読むことによるナヴィゲーションの楽しさを味わっていただくことをねらいとしています。
【地図の比較】
①1:25000地形図
現在発行されている国土地理院の1:25000地形図です。当初はこの地図画像を利用予定でした。
②大会で提供される正規地図
レーザー測量によって測量された等高線に空中写真等から道、建物等のデータを読み取り、地図化したものです。また、この地区で発行されているオリエンテーリング地図を使って通行が困難な場所(やぶ)を記載しました。1:25000より細かい地形が表現されていることが分かります。
③試行的に提供する正規+赤色立体表現図
この地図では等高線では表現できない微地形が表現されているのに加えて、あたかも模型を見ているように地形の凹凸が目の前に現れてくることにびっくりされるでしょう。この地図はオプションとして参加者全員に提供されますが、利用するしないは自由です。チェックポイントはすべて②の地図に表現される地形上の特徴におかれますので、地形情報としては②の地図に不利はないと思います。なお、赤色立体図は赤を使ったときがもっとも立体感が得られますが、他の特徴の読みやすさや地図としての美しさを考えて、実際の地図は色相を変える予定で、現在試行錯誤中です。
【もっと知りたい方へ】
①レーザー測量とは
数多くのレーザー光を飛行機より発射し、それが戻ってくる時間を利用して、地面の標高を測量します。従来の空中写真では、木の生えた通常のテレインにおいて、樹冠(木のてっぺん)の高さと地表の高さを区別することは困難でした。レーザー光では10cm単位での正確な高さの測量が可能なため、木の生えた場所でも高さの異なる測量点を区別することで、正確な地表面の高さを測量することができます。今回のベースとなる等高線データはこのようにして作成されました。
②赤色立体図とは
富士山麓の正確な標高データの測量結果をより分かりやすく表現するためにアジア航測で開発された地形表現方法です。傾斜の緩急を赤の濃淡で、天空の開け方(尾根か谷か)を黒の濃淡で表わし、両者を重ねることにより、これまでの表現技法にはないリアルな地形表現を可能にしています。しかも、大局的(広い範囲)な特徴が重要な場合はそれを、狭い範囲の特徴が重要な場合はそれを黒の濃淡により強く反映させるため、等高線には現れにくい高さの差50cm程度の段差なども表現できます。また絶対的な高さの表現は犠牲になりますが、相対的な高さの差や地形の変化が強調されて表現される傾向にあるので、人間の目で見たのと近い地形表現が得られます。
③今回の地図利用プロジェクトについて
赤色立体図はあまりの地形表現のリアルさのため、等高線から地形の要素を読み取るために練習による習得した読図スキルを要求しないように思います。それを考えると、赤色立体図を使うことはナヴィゲーションスポーツとしては「邪道」のようにも思えます。一方で、このような新しい技術を積極的に使うことで、初級者にも地図読みや地形を使うナヴィゲーションの楽しさが味わいやすくなり、それはアウトドアスポーツの可能性を広げるものになるかもしれません。
今回は、実際にイベントで利用してもらうことでアウトドア活動者が赤色立体図をどう感じるか、それは同一のスキルを持つ人に対して確実なナヴィゲーションを保証するのか(これはアウトドアの安全を考えると重要なポイントになります)、その一方でそれによって読図やナヴィゲーションの本質が大きく変わってしまうことはないのかといった点を検証することを目的にデータの提供を受けました。
参加のみなさんには事後のアンケートをお願いしますので、ご協力いただけるようお願いします。