奥武蔵マウンテンオリエンテーリング(OMO)2019ご参加ありがとうございました。
天候にも恵まれ、無事終えることができました。早春の奥武蔵でのマウンテンナビゲーションを楽しんでいただけたでしょうか。
はじめにひとつお詫びです。
エリートクラスのCP11に番号違いがありました。原因は全コントロール番号設定後に各コースの日本語位置説明を手作業で記入するという手順を踏んでいて、番号の転記ミスがあったためです。大変申し訳ありませんでした。
これによるロスタイムの申告があったチーム及び、番号違いを連絡くださった選手はロスタイム差し引いて正式リザルトとしております。
次回はこのようなミスが起こらない作業手順に徹底したいと思います。
続いて各コースの解説です。
日和田山エリアでは3年ぶりの開催でしたが、前回のコースとなるべく被らないように下見を行ない、CP9はこのエリアは唯一の湿地状の浅い谷、CP10は特異な地形であるため今回も採用しています。昨年の越生エリア比べると全般的に尾根と谷が発達しており、緩斜面も少ないため急斜面での課題が多くなりました。
ルート図
赤:谷川、緑:結城、青:小泉(成)、紫:プランナー想定
S-1
谷ルートが多数だろうと想定していたのですが、トップ3は明確な小径のある西側の尾根ルートから谷の比高が小さい所で尾根に取りつくルートでした。谷ルートよりナビゲーションの手数は多いですが、路面がいいぶん早かったかもしれません。
1-2
地形を切っていくか、北へ大迂回するか選択肢が分かれたと思います。トップ選手はみな地形を切っていますが、ライン取りが微妙に異なるのが面白いところです。レッグ後半の尾根の比高は50m程度ですが、極端な急斜面を避けることと尾根に乗った時点で現在地を把握することが大事です。
谷川選手が10分12秒と、圧倒的速いタイムでした。登りを抑えたラインを進んでおり、これが好タイムにつながっているようです。
2-3
2からの脱出は谷を下るか尾根に戻るか選択肢があり、アタックも尾根を下るか谷から這い上がるか2通り考えられます。ここはプランナーの想定とトップ3は尾根ルートでした。
3-4
今回のコース上で最も難易度が高い、急斜面の地形切り課題です。鞍部をつないでいくのがベストルートですが、より低い北の鞍部が目立つので注意が必要です。谷川選手も北の鞍部に引っかかっていますが、それでもトップラップでした。なお、北の道迂回は時間がかかる想定をしていましたが、結城選手が区間2位で意外と悪くないかもしれません。
4-5-6
CP5は隣の尾根まで小径で行けるので比較的易しいです。マーシャルCPまでは前半タフな区間が続いたので息抜き&先読み区間としています。
6-7
北の山麓ラインと南の尾根ラインがあります。プランナー想定では南もありですが、トップ3が選択した北ラインのほうが若干速いかもしれません。
7-8
一旦谷に下り中腹トラバースするルートと、南側の主尾根に登りピークから下るルートの2種類があります。前者のほうが比高が少ない上に中腹のトラバース道は走りやすく、地図で見る印象以上にタイム差がつくかもしれません。
また、CP付近は地形が緩慢でリロケートが難しいです。ここに設定すべきか迷いましたが、7-8及び8-9のルート選択を分けるには適所であるため設定しました。手掛かりはCPの南東側の谷はこのエリアで顕著な地形でることと、その縁の斜面の向きが北から北東にかわるライン上ということでしょうか。
8-9
コース一番のロングレッグ。ここは選択肢が多彩でルートが分かれるだろうと想定したのですが、TOP3は同ルート(プランナー想定のベストルート)でした。しかしラップを見ると各チームかなりタイム差がありますので、実際は様々なルート取りがなされたと想像されます。また、CPのある浅い谷の手前はトレイルの構成が複雑で迷ったチームもいたかもしれません。
9-10
レギュラーと共通区間。ここも選択肢が多彩で、今度は見事にルートが分かれました。
タイムとみると中央ルートの谷川選手が17:33で最速でしたが、この日の巡行速度を考慮するとルートによるタイム差はそれほどないと思われます。
10-11
ルートの選択肢はほぼなく、エリート選手には易しい純粋な尾根辿り区間です。尾根上のトレイルはアップダウンがありますが、下り基調でスピード感があるアタックとしました。
11-12
終盤のヤマ場で、ここはどの選手も体力的にきついでしょう。支尾根利用の場合主尾根にはトラバース気味に登りますが、主尾根に出た際に現在地を把握できていることが大事です。
12-13
斜めに登る小径利用と南側の小径利用の2ルートがあります。どちらも荒れ道ですが、前者のほうが距離が短く早いと思います。トップ2は南側ルートでここは少し時間がかかったようでした。
優勝設定は3時間15分としましたが、谷川選手3時間11分、結城選手3時間13分と、トップエリートの実力を見せつけ、設定を上回る素晴らしいタイムでした。また完走はソロ7名、7チームの過去最高となりました。コースは例年と比べ易しいわけでないので、選手のレベルアップが大きいと思います。
こちらも3年前と被らないようにエリアやCP位置を工夫し、前回の逆回りの流れとしました。またビギナークラス新設に伴い、中級以上向けのコース設定にシフトし、オフトレイル区間を増やしています。一方で会場から遠方は安全面などを考え、トレイル&ロードラン主体のルートチョイス区間としています。
ルート図
赤:村越、紫:プランナー想定
1-2
荒れた作業道が交錯していることと、枝尾根にCPがあることで難易度が高めです。真っすぐは谷がやや深くうえに現在地把握する手掛かりが乏しいため、尾根上で枝尾根の正面にでられないと右往左往します。CP1からはトラバース道でなく北の尾根のラインを使ったナビゲーションのほうが荒道に惑わされず確実だと思います。
2-3
2からの脱出は谷を下るか尾根に戻るか選択肢があり、ルート選択が大きく分かれます。尾根ルートおよび谷の東側林道は北東側から谷に入れるのでアタックは容易です。谷の西側林道ルートが最速だと思われますが、途中林道の途切れがありアタックも少々テクニカルなため実力に応じたルート選択が求められます。
3-4
エリートと共通区間です。村越選手はエリートトップ3とまた別ルートで21分9秒ですが、巡行速度差を考えるとルートによる差はほぼないものと思います。なお、CPは隠れピークであることを認識できていないと戸惑うかと思います。
4-5
村越選手は谷を下っていますが、足元が悪く時間がかかっています。ベストルートは尾根上のトレイルです。トレイルからのロードも悪くないでしょう。さすがに全ロードは距離が長すぎで数分余計にかかるようです。
5-6
尾根経由と谷経由が考えられます。谷経由のほうが若干速いと思われますが、手前の鞍部の6差路で行くべき細いトレイルとメインのトレイルを間違うミスが結構あったようです。
6-7
ルート選択が多彩なロングレッグです。村越選手は最短ラインを選んでいますが、オフトレイルのつなぎがタフで時間がかかっています。アタック以外のオフトレイルは極力避けるのがおそらく得策で、宿谷の滝経由からの尾根ラインがベストルート、もう一つは東側大迂回ルートでしょうか。
7-8-9
一転してショートレッグの連続です。下り基調で体力的負荷は小さいですが、地形に沿えない&藪の向こうという課題で、はっきりナビゲーション技術が問われる設定としました。ここでレギュラーも阿闍梨カップも大きな順位変動が起こっています。
7-8は小径で迂回でも良いと思います。8-9を真っすぐがベストです。
方向を維持できていれば尾根を傾斜変換付近で横切ります。さらに進めば左手側に浅い谷と緩やかなピーク。これを確認してそのまま正面の尾根に飛び込みます。8-9は想定以上に高難度で、村越選手の区間タイムの2倍以内はレギュラー6名、阿闍梨CUP0名という結果でした。
設定タイムを1割程度伸ばしたこととオフトレイルを増やしたことで、完走率は昨年度の80%からレギュラー51%、阿闍梨CUP56%に下がりました。コース設定に関しては好評を多くいただいており、ある程度挑みがいがあるコースというのが、OMOというイベントに求めているものにマッチしているのではないかと感じています。
ルート図
赤:川上、紫:プランナー想定
序盤は整備されたハイキングコースとしていますが、5以降はマイナールートで道自体が少し辿りにくくなり、7-8はオフトレイルチャレンジということでレギュラー1-2の逆コースとしました。逆のためアタックはレギュラーより易しいですが、ラップを見るとかなり時間がかかっているチームのあり、ここは少々難しかったかもしれません。難易度の設定は今後の課題としていきたいと思います。
今回、ビギナーエントリーは8組で、レギュラークラスにエントリーが偏っていた印象でした。レギュラークラスの人気はありがたいことですが、レギュラーの完走がまだまだ遠く感じられた方はビギナークラスも検討していただければと思います。コースを長く辿れるほうが上達の近道ですし、何より完走する喜びがあると思います。
来年はまた別のエリアでの開催を検討しております。ぜひ楽しみにしていてください!